インタビュアー:未来
お客さんが、自分が作ったもので笑顔になってくれる。そしてそれが自分の生活の糧になる。だから頑張れる。
ニーズモールでHURONブランドの製品を販売している狩野さんは、フードトラック「ニコ」に乗って、近畿中四国を中心に行脚する料理人であると同時に、イベント企画やリカバリーウェア・アイマスクの販売も手がける、多彩なパワーを持った稀有な人物だ。
そのパワーの源に迫ってみたい。
狩野さんは北海道富良野に生まれ、これまで高知や広島、岡山に暮らし、お仕事の関係で全国を飛び回ってきた。
カラオケが大好きで、LUNA SEAや平井堅、小田和正が定評だ。特にバラードが好きらしい。忙しい傍ら、趣味でWOWOWのドラマを見るのを毎週楽しみにしているという面も併せ持っている。
今のキッチンカーのお仕事を始める前には、サラリーマンをしながら、パンケーキ屋さんや焼き鳥屋さんも経営するなど、何足ものわらじを履いていたそうだ。
そのバイタリティは今もかわらず、いやむしろパワーアップしていて、キッチンカーでの移動販売だけではなく、キッチンカーが出店できる場所の開拓や、 キッチンカー作成のノウハウを使って、ヘッドマッサージやネイルなどが出来る「サロンカー」の企画提案をしたり、リカバリーウェア・グッズの販売といった事業も展開している。
しかも、キッチンカーで販売するメニューも、ある場所では唐揚げ、あるイベントではオムライス、別の会場ではバブルワッフルや自家製シロップカキ氷と、販売する場所や条件に合わせて柔軟に変えているのだそうだ。
聞いただけで目が回りそうな忙しさにも関わらず、岡山県で開催されるリアル支部「3M」の主催まで行っているというから驚きだ。
最初からできませんではなく、いろいろできる幅をもっておくことが大事
「よく、何かに絞った方が楽じゃないですかって言われるんです。でも僕からすると例えば電気屋さんにテレビや冷蔵庫、パソコンを買いに来たお客さんに「テレビのことはわかりますが、冷蔵庫やパソコンはわからないので担当変わりますね」と言うのでは、せっかくきてくださったお客さんを喜ばせることはできない。むしろ、洗濯機も冷蔵庫も掃除機もエアコンも炊飯器も、家電に関することなんでも知っていて取り扱える方が、絶対にいいんです。僕からすると、キッチンカーで多様なメニューを扱うのも、さまざまな事業を展開するのも、お客さんのニーズに合わせて内容や対応を臨機応変に進化させていくことも、それと同じことなんです」
狩野さんの言葉にはなんとも説得力がある。
実際に、多様なメニューが取り扱えることで、イベント主催者からは「このジャンルの出店者がいないんだけどお願いできないか?」と声をかけられたり、多くのキッチンカーが出店する大規模なイベントであっても、独自性を出すことで、売上を伸ばしていくことにつながっているそうだ。
そうした取り組みが身を結び、少しずつ「個別契約」の流れも生まれてきた。
神社やドコモショップなど、特定の店舗の前で毎週キッチンカーをだせてもらえるようになったり、
この10月からは大阪のバスケットボールチーム「エヴェッサ」の試合時に、キッチンカーを出店させてもらえる契約をこぎつけた。
多様なニーズに、「できません」ではなく「できますよ」と対応し続けてきたことでビジネスの幅も広がってきた印象だ。
しかし、ここまでの道のりは決して平坦ではなかった。
もともとは大手の電気屋さんで働いていた狩野さん。
このままの生き方でいいのかと、疑問をもつきっかけとなったのは東日本大震災だ。
震災の被害を受けた店舗の片付けや対応に追われる日々の中で、さまざまな思いが心によぎった。思い切って家族が暮らす高知県で何か新しいことを始めてみようと思い立ち、当時人気になっていたパンケーキに目をつけた。
当時高知県にはまだパンケーキを売りにしたお店はなく、瞬く間に大人気になった。妻に手伝ってもらいながら、サラリーマンとパンケーキ屋を切り盛りする生活を3年ほど続けた。焼き鳥屋も新規オープンし、2店舗経営が6年経ちいよいよ飲食店一本で暮らしを立てていこうと会社を退職した矢先に、コロナ禍という未曾有の危機に直面し、お店をたたむこととなった。
その時に出会ったのがリカバリーウェア「HURON」だ。自律神経の乱れを和らげ、整えてくれる商品だ。
商品の販売を広げていくために、さまざまなマルシェに顔を出し、いろいろな方々とつながっていく中で
「もう一度、飲食店をやりたい」
という気持ちが芽生えた。
喜んでもらえることで仕事ができることが楽しい
飲食店にもう一度チャレンジする時、店舗ではなくキッチンカーを選んだのには理由がある。
お店は 時間と場所が固定される。お客さんからするとそこに行けばお店があるという安心感がある。一方で、お店側にできることは実に少ない。くるかこないかわからないお客さんを待ち続け、毎日仕込みをする。待ち続けるのではなく、もっと自分からお客さんと出会い、歩み寄れる仕事がしたい。
その点キッチンカーは自分で出会いにいくことができる。イベント、定時出店、ケータリングなど、お客さんの求める場所に行き、そのご要望に柔軟に答えることができる。
老人ホームなど、出歩けないお客さんのところに行って、食事やスイーツなどを提供したときに返ってくる嬉しそうな表情は、お店でただ待っている時には味わえなかったやりがいと充実感だった。
キッチンカーの可能性はもっとある。
さまざまなことを経験してきた自分だからこそ、提供できる価値がある。
キッチンカーを続けてきたことで、見えてきたことがある。
ただ出店するだけではなく、不動産屋さんとタッグを組んで、キッチンカーに来て欲しい事業所や 出店場所を探しているキッチンカーのマッチングサポートをしていくことや
キッチンカーでお昼時に会社にお邪魔し、週替わりで違うメニューを提供することで、社員食堂の代わりとなる福利厚生を提供したり
飲食店を始めたいけど、まだ仕込み場所や設備といった物理的環境が整っていない方に、仕込み場所の提供をしたり
キッチンカーのノウハウを活かした「サロンカー」で、待ちの接客から攻めの接客が出来る
そうした一つ一つの取り組みが、より多くの方に利益を生み、より多くの方の夢を繋げていくことができるということ。
これからの日々はそうした可能性を広げ、実現していくことに力を注ぎたい。
今描いている目標に向けて、狩野さんはもうその一歩一歩をすでに踏み出している。
狩野さんが提供する商品一つ一つは
これまで出会った方々のご縁と笑顔と感謝で繋がってきた品々だ。
リアルで食べてみたい、という方は、ぜひ狩野さんのFacebookに告知される情報をチェックしてみてほしい。
きっとあなたにもまた、「おいしい」の笑顔が広がっていくことだろう。